<サイトレイアウト タイトル=NASと同じ事務所内のバックアップだけで運用している会社 説明=NASとは別の機器へバックアップしていても、同じ事務所・電源・ネットワークに置いている会社向けに、別機器と別障害ドメインの違い、復旧経路の分け方を整理します。>

← 記事一覧へ

バックアップ・復旧ネットワーク・機器

公開: 2026/9/13 ・ 更新: 2026/9/13

NASと同じ事務所内のバックアップだけで運用している会社

この状態なら読む

次のような会社を対象にします。

別機器へバックアップしていること自体には意味があります。

元NASのディスク故障や機器単体故障に対しては、別機器が有効な復旧先になる場合があります。

一方で、別の機械であることと、同じ事故で同時に失わないことは別です。

このページではNAS運用を否定せず、今のバックアップがどの事故まで分離できているかを確認します。

「別機器」と「別の障害ドメイン」を分ける

たとえば次の構成を考えます。

これは「NAS Aだけが故障した」という事故には強くなります。

しかし次のような事故では、2台が同時に影響を受ける可能性があります。

ここでいう障害ドメインとは、同じ原因でまとめて失う範囲として考えると分かりやすくなります。

まず今のバックアップが何から守っているか書く

バックアップ構成を製品名ではなく事故で確認します。

事故 同一事務所の別NASで戻せるか 確認する点
元NASのディスク故障 戻せる可能性が高い バックアップ時点、復元手順
元NAS本体故障 戻せる可能性がある 別機器から読めるか
誤削除 世代が残れば戻せる 上書き・同期だけでないか
ランサムウェア 構成次第 バックアップへ書き換え可能か
盗難 同時に失う可能性 同じ場所に置いていないか
火災・浸水 同時に失う可能性 別拠点コピーの有無
停電・電源障害 同時に停止する可能性 UPS、電源系統、復旧後の整合性
回線障害 LAN内なら使える場合がある クラウドだけに依存していないか
事務所へ入れない 利用できない可能性 別拠点から復旧できるか

「バックアップあり」ではなく、どの事故から戻せるかを記録します。

同じネットワークにあることの意味を確認する

バックアップNASが常時ネットワークへ接続され、日常利用者や管理者から書き換えられる場合、便利な反面、元データと同じ操作経路から影響を受けることがあります。

NCSCは、外付けHDDやUSBメモリ等のバックアップ媒体をネットワークへ恒常的に接続したままにしないことを示しています。

NASは外付けHDDと同じ機器ではありませんが、運用設計として確認すべき点は共通します。

「常時接続だから危険」と一律に決めるのではなく、元データと同じ侵害経路でバックアップまで変更できるかを見ます。

同じ事務所にあることの意味を確認する

機器を別ラックや別机へ移すだけでも、一部の局所的な事故は分けられます。

ただし同じ建物・同じ区画にあれば、火災、浸水、盗難、長時間停電等では同時に影響を受ける可能性があります。

NCSCは、重要なファイルについて異なるバックアップ手段と保存場所を使って複数のコピーを持つことを示しています。

したがって、事業上必要なデータについては、少なくとも一つを「同じ事務所を失う事故」から分離する価値があります。

改善手段は一つではない

オフライン媒体

外付けHDD等へバックアップし、完了後はNASやネットワークから切り離して保管します。

利点は、日常ネットワークから分離しやすいことです。

一方で、

という課題があります。

別拠点の媒体・NAS

別事務所や安全に管理できる別の場所へコピーを持ちます。

これにより同一拠点の火災・浸水・盗難等を分けやすくなります。

ただし、単に社員の自宅へ持ち帰るだけでは新しい管理問題が生まれます。

を決めます。

クラウドバックアップ

別拠点へ物理媒体を運ばず、ネットワーク経由で別サービスへ保存する方法です。

拠点障害を分けやすい一方、

といった別の依存が生まれます。

複数を組み合わせる

たとえば、

のように、事故ごとに役割を分ける方法があります。

全てを一つのバックアップ方式で解決する必要はありません。

「回線がなくても戻せる」と「事務所がなくても戻せる」は別

復旧経路を考えるとき、この2つは分けます。

回線が使えない

事務所とNASは無事だが、インターネット回線だけが使えない状態です。

この場合、LAN内のNASやオフライン媒体から復旧できる経路が役立ちます。

事務所そのものを使えない

火災、浸水、立入禁止等で事務所内の機器へ到達できない状態です。

この場合、同じ事務所に置いた別NASだけでは復旧できません。

別拠点またはクラウド等から、別のPCや環境へデータを戻せる必要があります。

この2種類を混同すると、「クラウドがあるから回線障害も大丈夫」「別NASがあるから拠点火災も大丈夫」といった誤認につながります。

別拠点コピーを持つ前に復元時間も考える

データが残っていても、戻すのに数日かかれば業務が止まる場合があります。

次を確認します。

全部を一度に戻すのではなく、業務再開に必要なデータを先に決めておく方法もあります。

復元テストは別機器・別経路で行う

NASの管理画面で「バックアップ成功」と表示されても、実際に戻せるとは限りません。

既存の復元テスト方針と同様に、定期的に実データ以外のテスト対象で復元を試します。

たとえば、

  1. テスト用フォルダをバックアップする
  2. 元NASから削除する
  3. バックアップ世代を指定する
  4. 別フォルダまたは別機器へ復元する
  5. ファイルを実際に開く
  6. 所要時間を記録する

さらに別拠点バックアップがある場合は、「本社NASが完全に使えない前提」で戻せるか試します。

追加コピーは機密性の管理対象も増やす

別の場所へコピーすれば復旧性は上がりますが、データが存在する場所も増えます。

追加するたびに次を記録します。

顧客情報、従業員情報、契約書等を別拠点やクラウドへ複製する場合、復旧性だけでなくアクセス範囲も確認します。

少額で改善する順序

既存NASをそのまま使いながら、段階的に改善できます。

第1段階: 現状を書き出す

を一覧にします。

第2段階: 同時に失う事故を挙げる

のうち、元NASとバックアップがどこまで同時被害になるかを確認します。

第3段階: 一つだけ障害ドメインを分ける

重要データだけでも、

のいずれかへ追加コピーを作ります。

第4段階: 実際に戻す

別のPCやNASへ復元して、必要時間まで確認します。

ここまでできれば、「バックアップ装置がある」から「どの事故でどこから戻すか説明できる」状態へ進めます。

目標とする状態

目標はNASをやめることでも、クラウドへ全面移行することでもありません。

次の質問へ答えられる状態を目指します。

別の機械を持つことではなく、少なくとも一つの復旧コピーを同じ事故で同時に失わないことを基準にします。

根拠・一次情報

外部事実は、資料トップではなく実際に確認した原典内の位置へ戻れるようにしています。 リンク先が対応している場合は該当文言を直接表示します。

  1. NCSCは、重要なファイルについて、異なるバックアップ手段と保存場所を使って複数のコピーを持つことを示している。

  2. NCSCは、外付けHDDやUSBメモリ等のバックアップ媒体をネットワークへ恒常的に接続したままにしないことを示している。

  3. NCSCは、重要なファイルのバックアップについて、復元方法を把握し、期待どおり動作するか定期的にテストすることを示している。